EVER-RISE

前々回でオフショア開発先の動向、トレンドについてご説明したとおり、長らく日本のオフショア開発先として最有力であった中国ですが、近年ではベトナムでのオフショア開発についての問い合わせがそれを上回る勢いとなっています。日本の独立行政法人情報処理推進機構が2012年に発表した日本のIT企業1100社を対象としたオフショアITサービス調査においても全体の31.5%がベトナム企業を提携パートナーとして選択したい考えを示しており、インドの20.6%や中国の16.7%を大幅に上回っています。

それではなぜオフショア開発先としてベトナムを選択するのでしょうか?オフショア開発においてベトナムの優位性を示していきましょう。

なんといっても価格競争力

現時点においてベトナムの最も優位な点は価格と言って過言ではないでしょう。ブリッジSEで30万円程度、通常のプログラマーで20万円程度が相場です。中国やインドでのオフショア開発では1.5~2倍程の単価が想定されます。もちろんベトナムも今後の経済発展を考えれば労働者賃金の上昇は確実ですが、それを加味しても中期的に見て競争力があると目されています。

日本に似た勤勉な国民性

概ね明るく友好的で、勤勉で責任感のある国民性です。南部と北部で国民性に若干の違いがありますが、北部の方が生真面目で几帳面な性格と言われ、南部の方が陽気でおおらかと言われています。他の東南アジア各国も視察にいきましたが、その中でもベトナムが群を抜いて真面目に働いている印象をもちました。
また日本人が真似してほしいほどに、ベトナム人の向学心は旺盛です。仕事を定時に切り上げて大学や語学学校に通うなど人々は常に何かを学ぼうと努めています。ITエンジニアにとって勉強は欠かせぬ活動ですので、こういった国民性もオフショア開発におけるベトナムの優位性となると考えられます。

優秀層がエンジニアになる国

ベトナムでは優秀層の多くの学生がITエンジニアになることを希望します。大学進学率は15%程度とまだ低位にとどまりますが、ITやコンピュータサイエンスなどの学部が人気であり、比較的理系科目に重点を置かれた教育を行っています。
日本と異なり、実際に現地でIT企業にエンジニア職として就職する人材は必ずITやコンピュータサイエンスなどの学部を出ていますので、情報技術にかんする基礎を確りと積んでいるエンジニアばかりです。

国民の親日感情

日本人や日本製品、日本企業に対するリスペクトはアジア諸国の中で群を抜いています。街ゆく人100人に「日本が好きか?」と聞いたら100人全員が「日本が好き。」と答えたという調査もあります。日本人観光客やODA、進出企業や日本製品といった様々な事から、「我々も日本のようになりたい」という憧れを持っている様です。

国家としての政治的安定、日本との関係

大きく投資しておきながらも反日感情や政治的緊張などの重大な問題を抱える事となっている中国の事例を考えると、国家間関係は極めて重要な考慮点の一つと言えるでしょう。ベトナムは社会主義共和国家で共産党一党独裁という体制ながら政治は安定しており、中国で顕在化した様なリスクが低いと考えられます。また国家としての日本との関係は戦略的パートナーという位置づけにあり、大変友好な関係を築いています。

 

次回はラボ型開発についてご説明します。

EVER-RISE