スターバックスの歴史は差別化の歴史

投稿日:
Add by Masahiro Ikenaga | Jun 11, 2013 15:00  3443 |  62

Map Outline

スターバックスはアメリカで成功している
1 店舗数拡大
1.1 1987年:米国・カナダで17店舗
1.2 1991年:116店舗
1.3 1996年:約1000店舗
1.4 1998年:北米だけで約1800店舗
2 スターバックスの差別化戦略(品質)
2.1 価格:1杯3ドル前後
2.2 アメリカで主流だった薄いコーヒー を香り豊かなコーヒーをスターバックスでは提供
2.2.1 カフェ・ラテ
2.2.2 カプチーノ
2.2.3 カフェ・モカ
2.3
3 スターバックスの差別化戦略(品質に対しての管理)
3.1 米国の店舗はすべて直営
3.2 6つのクラスで各4時間、計24時間の研修を受けた バリスタのみが店舗でコーヒーを提供できる
3.3 一旦開封したコーヒー豆は7日後には 寄付に出すことを徹底
4 スターバックスの差別化戦略(従業員(パートナー)に対しての教育)
4.1 マニュアルによる管理はそこまでしていない
4.2 マニュアルを排除している
4.3 スターバックスの価値観をうたった ミッション・ステートメントを 基準に自分で行動を考えることを奨励
5 スターバックスの差別化戦略(従業員(パートナー)に対しての制度・文化)
5.1 ストックオプションの導入
5.2 フレキシビリティの高い制度を作る
5.3 交流を促す文化を醸成
A1 なぜ店舗数拡大が出来たのか。 それはコーヒーの差別化戦略が 消費者にはまった。 結果に対しての原因①input
A2 なぜ消費者にその品質を提供できたのか? 原因①に対して原因②
A3 なぜ従業員は顧客満足(品質の良いものを提供する) に対して貪欲になれたのか? 原因②に対しての原因③
A4 なぜ従業員は情熱を持って仕事に取り組めたのか 原因③に対しての原因④
A5 結果:output

保存

保存

…配信元を読む

 

今や世界を代表するカフェといえるスターバックスコーヒー。同社の差別化ポイントを踏まえ、問題点および改善点について何か挙げることができますか?

[大崎孝徳ITmedia]

集中連載:すごい差別化戦略 について

book

この連載は大崎孝徳著、書籍『すごい差別化戦略 競合他社を圧倒する「違い」のつくり方』(日本実業出版社)から一部抜粋、再編集したものです。

価格競争に陥らないために、いま何をすべきか?
あの会社は、なぜ競合他社に模倣されないのか?
セオリーどおりでは、なぜ差別化できないのか?
競合他社を圧倒する“違い”を「どこで」「いかに」つくるのか?

模倣されない意外な理由とは!? 25の身近な事例を題材に、価格競争に陥らない、常識を突き抜けた「差別化戦略」の核心を解き明かす1冊です。

スターバックスコーヒー(以下、スタバ)は、アメリカ・シアトル系カフェの代表格として、相変わらず人気があります。こうしたスタバの人気は大学生など若者においても目立っています。しかしながら、若者の車離れや酒離れ同様、コーヒー離れも深刻なようで、スタバに行っても若者が注文するのはフラペチーノなど、ドリップコーヒー以外の商品が中心となっています。

もっとも、こうした状況はスタバ自身が意図したことかもしれません。2011年のロゴマークの変更により、人魚の周りを取り巻く「STARBUCKS COFFEE」の文字がなくなり、現在のロゴとなったわけですが、その理由は「スタバ=コーヒー」という狭い枠組みからの脱却であると聞いたことがあります。

ドリップコーヒー以外の商品を提供する戦略に関して、サービスを開始した当初は、アメリカではオペレーションがうまくいかず、「大混雑」「顧客満足が大きく低下」などと一部で不評の声が上がりましたが、現在は落ち着いているようです。

ks_sutabalogo01.jpg

ブランドを守ることvs売り上げ拡大

先日、学生たちと、このテーマについて話をする機会がありました。そこでは、「フードメニューを充実させてほしい」といった問題点も指摘されましたが、ブランドに関する意見が多く挙げられました。具体的には、「自宅近くのスーパーマーケットの中にスタバが入ったけど、こうした場所への出店はブランドイメージが低下するのでやめたほうがいい」という意見や、さらに厳しい学生からは「大型ショッピングモール内でも、イメージ低下につながる」との指摘もありました。

プレミアム商品の研究でも、市場に枯渇感を与えることが重要であり、どこでも気軽に手に入る状態にはしないようにするべきとの指摘もあります。確かに、富山の環水公園や神奈川・鎌倉の御成町にある路面店は、スタバのイメージ向上に大きく貢献しているでしょう。

しかし、そうした場所に限定しての出店となると、立地条件が大きく制限され、さらに出店に伴う費用や時間に関しても深刻な事態となります。また、出店チャンスがあるにもかかわらず、思いとどまれば売り上げ拡大のチャンスを逃すことになってしまうため、企業にとっては非常に難しい決断となります。

「ファーストリテイリングがユニクロとGUを分けて展開しているように、スタバもモールに出店する店舗は別ブランド化させるべき」という学生からの意見もありましたが、別ブランドをうまく構築して定着させることができるかは、なかなか興味深いポイントです。

ks_sutaba_kamakura.jpg
スターバックス鎌倉御成町店(出典:スターバックス公式サイト)

心地よい空間と時間の提供vs回転率の向上

また、「勉強していたら、店を出ていくように言われました」という学生の言葉には大変驚かされました。低価格を強く訴求するハンバーガーショップなどのファストフード店ではよく聞く話ですが、スタバでもそのような「長居する客の追い出し」が行われているというのは、にわかに信じ難いことです。

というのは、スタバが重要視する理念の1つに「サードプレース(第3の場所)」というものがあります。ファーストプレースは自宅、セカンドプレースは職場を意味し、それらとは異なるサードプレースで心地よい空間と時間を提供することがスタバのコンセプトであり、そこが他のカフェとの差別化ポイントの1つとなっています。

こうした考えと真っ向から対立する「長居する客の追い出し」が、回転率の向上のために実施されているわけです。

今や世界を代表するカフェといえるスタバですが、日本国内ではスタバを上回る店舗数を誇るドトールと単純にコーヒーの値段を比較すると、スタバはドトールのおよそ1.5倍です。この価格の「差」を消費者が許容するのは、コーヒー自体の味の違いよりも、上質な机や椅子、ゆとりあるスペースといった「店舗の雰囲気のよさ」により、いわゆる「経験的価値」を得ているからでしょう。

アメリカのシアトルにあるスタバ本社でスタッフにインタビューしたことがあるのですが、彼はスタバの強みに関して、コーヒー以上に「インテリア」「空間づくり」を強調していました。こうした強みである「居心地のよさ」により、長居する客が増加して回転率が低下するというのは、なんとも皮肉な話です。

シアトルでスタバをはじめとしてカフェを数多く回りましたが、日本とは違ってテイクアウトする客の多いことが強く印象に残っています。このようにテイクアウトの客が多ければ、仮に客席の回転率が悪くとも、店全体の売り上げはある程度の数字が残せるでしょう。また、長居する客の割合や時間が日本ほどはひどくないとも感じました。

こうした顧客の行動の相違は各国の文化や国民性、習慣に依存する部分も多く、1つの企業の力によってコントロールすることはなかなか難しいように思います。スタバのサードプレースというコンセプトは、アメリカでは比較的容易に実現できても、日本においてはスタバ人気が高まれば高まるほど、深刻な課題となってくるのかもしれません。

日本企業が海外進出する際に、進出先の国の文化や慣習などにより、日本で成功した差別化要因が通用しないケースは往々にして見受けられます。国際マーケティングの研究では「標準化(効率を重視して本国と同様の策を実施)と適応化(顧客ニーズの相違への対応を重視して当該市場に合わせた策を実施)をいかに調整すべきか?」ということがしばしば議論の対象となりますが、今回のスタバの事例もこうした問題の難しさを表しているといえるでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です